2026年6月4日、『チェンソーマン』最終24巻が発売されました(出典: 集英社)。物語そのものが完結したのは、これより少し早い2026年3月25日です。第232話「ありがとうチェンソーマン」の掲載をもってのことでした(出典: ナタリー)。連載開始の2018年12月3日から数えると、約7年4か月かけての完結でした。
この記事では、藤本タツキの漫画作品と映像化企画を一つの年表に並べます。ただ日付を並べるだけなら、ほかのまとめサイトと変わりません。僕がここで見たいのは、作品と作品の「間隔」です。次の作品まで何か月空いたか、映像化がどのタイミングで動いたか。並べてみると、二つの発見がありました。
まず一覧です。詳しい出典と読み方は、このあとの各見出しで順に説明します。
| 発表 | 時期 | 概要 |
|---|---|---|
| 予言のナユタ(読切) | 2015年8月 | ジャンプSQ.掲載、のち短編集収録 |
| ファイアパンチ(連載) | 2016-04-18〜2018-01-01 | 全83話・単行本8巻 |
| チェンソーマン第一部(連載) | 2018-12-03〜2020-12-14 | 全97話・単行本11巻 |
| 短編集『22-26』発売 | 2021-11-04 | 初期短編をまとめた短編集 |
| さよなら絵梨(読切) | 2022-04-11 | 200ページ |
| チェンソーマン第二部(連載) | 2022-07-13〜2026-03-25 | 第232話「ありがとうチェンソーマン」で完結 |
| チェンソーマン最終24巻発売 | 2026-06-04 | 単行本全24巻 |
| 劇場版レゼ篇公開 | 2025-09-19 | 完結の約6か月前 |
| 短編アニメ『17-26』配信開始 | 2025-11-08 | Prime Video、完結の約4か月半前 |
| 刺客篇の制作決定発表 | 2025-12-21 | 完結の約3か月前。形式・時期は未発表 |
| アニメ映画ルックバック公開 | 2024年 | 日本アカデミー賞受賞 |
| 実写映画ルックバック公開予定 | 2026-09-11 | 是枝裕和監督、藤本作品初の実写化 |
| スマホゲーム発表 | 2026-06-19 | 配信日・ジャンルは未定 |
短編が架けた8か月と11か月の助走
藤本タツキの連載作は、いつも短編を挟んでから始まっています。
読切『予言のナユタ』は2015年8月、ジャンプSQ.に掲載されました。のちに短編集『22-26』に収録されています(出典: 集英社)。その約8か月後の2016年4月18日、少年ジャンプ+で『ファイアパンチ』の連載が始まりました。全83話、単行本8巻で2018年1月1日に完結しています(出典: S-MANGA.NET)。この結末の意味は、以前に一本の記事にまとめました(記事: ファイアパンチ考察―結末の「映画」が意味するもの)。
『ファイアパンチ』の完結から約11か月後の2018年12月3日、週刊少年ジャンプで『チェンソーマン』第一部の連載が始まりました。第一部は2020年12月14日、全97話・単行本11巻で完結しています(出典: 少年ジャンプ公式)。
8か月、11か月。どちらも1年に満たない間隔です。長期連載の前に必ず短めの作品を一本挟む。この助走のリズムは、デビューして間もない頃からずっと一貫しているように見えます。
読切がもう一度、橋を架けた
藤本タツキの代表作には、映画のような装置を作品ごとに姿を変えて描く短編『ルックバック』もあります(記事: ルックバック考察―藤野と京本、ドアの下をくぐる一枚の紙)。この時期には、初期短編をまとめた短編集『22-26』も2021年11月4日に発売されました。『予言のナユタ』もここに収録されています。空白に見えたこの1年ほどの間も、実は仕事が止まっていたわけではありません。
第一部完結からおよそ1年4か月後の2022年4月11日には、200ページの読切『さよなら絵梨』が少年ジャンプ+に掲載されました(出典: 電ファミニコゲーマー)。そのわずか93日後、2022年7月13日に『チェンソーマン』第二部の連載が始まります。第二部は2026年3月25日、第232話「ありがとうチェンソーマン」で完結しました。
約3か月です。第一部の前にあった11か月の助走に比べると、半分にも満たない短さになっています。『さよなら絵梨』は独立した一本というより、第二部本編への導線をかなり詰めて敷いた読切だったんじゃないか。僕はこの間隔の詰まり方に、そう読みたくなります(記事: さよなら絵梨考察―爆発の意味と、カメラの持ち主が変わる瞬間)。
完結の半年前に来ていた映像化ラッシュ
年表の日付を見返すと、意外な並びに気づきます。原作の完結より先に、映像化が動き出していたことです。
劇場版『チェンソーマン レゼ篇』の公開は2025年9月19日でした(出典: チェンソーマン公式)。完結の約6か月前にあたります。短編8作を映像化した『藤本タツキ 17-26』の配信開始は2025年11月8日(出典: 藤本タツキ17-26公式)、完結の約4か月半前でした。さらに『チェンソーマン 刺客篇』の制作決定は2025年12月21日、ジャンプフェスタ2026の会場で発表されています(出典: ORICON NEWS)。完結のわずか約3か月前です。
映画公開・配信開始・続編発表という三つの映像化イベントが、原作が完結する前の半年間に集中していたことになります。アニメが原作に追いつき、完結より先に動き出す。この逆転が、本作の映像化企画がどれだけ速いペースで進んでいたかを物語っていると僕は思います(記事: チェンソーマン最終回、232話の自己捕食をどう読むか)。
実写化までの2年と、埋まらない空欄二つ
映像化の流れは、完結後も止まっていません。
アニメ映画『ルックバック』は2024年に公開され、第48回日本アカデミー賞で最優秀アニメーション作品賞を受賞しています(出典: 映画.com)。その2年あまり後にあたる2026年9月11日、実写映画『ルックバック』が公開予定です。監督・脚本・編集を是枝裕和が務め、出口夏希と蒔田彩珠がW主演を務めます(出典: 映画.com)。藤本タツキ作品としては初めての実写化になります(記事: 実写映画『ルックバック』、是枝裕和はなぜ編集まで兼ねるのか)。
一方で、まだ「未発表」のまま止まっている項目も残っています。『チェンソーマン』のスマートフォンゲームは2026年6月19日に発表されましたが、配信日もジャンルも未定です(出典: ファミ通)。『刺客篇』も、テレビシリーズか劇場版かという形式そのものが、この記事を書いている時点では未発表のままです。年表の最後は、こうして空欄のまま置いておくしかありません。続報が入り次第、別の記事で扱います。
年表を並べてみて
こうして通しで見ると、藤本タツキの動き方には一定のリズムがあると僕は感じます。短編で助走し、連載に入り、完結の前後で映像化が動く。第二部にいたっては、映像化のほうが完結を追い越しかけていました。このリズムがどこまで続くのかは、次の発表が出るまで分かりません。
表だけを追うと事務的に見えますが、間隔を並べてみると印象が変わります。11か月から3か月へ、助走はだんだん短くなっている。完結前から映像化が並走している。数字の裏に、作家としての勢いの乗り方が透けて見えると僕は思います。
これから藤本タツキ作品を読み始める人は、まず読む順番から選ぶのがおすすめです(記事: 藤本タツキ作品はどこから読む?目的別の3つのルート)。年表の空欄がどう埋まっていくか、僕もこの記事をベースに追いかけていくつもりです。

