藤本タツキ作品はどこから読む?目的別の3つのルート

藤本タツキの長編を2つ並べると、話数を合計してちょうど315話になります。『チェンソーマン』が232話(出典: ORICON NEWS)、『ファイアパンチ』が83話です(出典: Wikipedia「ファイアパンチ」)。単行本にすると24巻と8巻、合わせて32巻です。

数字だけ見ると、けっこうなボリュームです。それに加えて短編が何本かあり、映像化まで手を広げると、正直どこから触れればいいのか迷います。

この記事では、書誌データが確認できている作品だけを使って、目的別に3つのルートを置いてみます。最短で『チェンソーマン』だけ読むルート、短編から藤本タツキの手つきをつかむルート、映像から入るルートです。

1巻あたりの話数を数えたら、意外な一致があった

ルートの話に入る前に、数字をひとつ見ておきたいんです。話数を巻数で割ると、1巻あたりの話数が出ます。この数字を並べると、面白い一致がありました。

『チェンソーマン』第一部は97話が11巻に収まっています。1巻あたりおよそ8.8話です(出典: Wikipedia「チェンソーマン」)。第二部は135話が13巻で、1巻あたりおよそ10.4話まで上がります(出典: ORICON NEWS)。

そして『ファイアパンチ』は83話が8巻、1巻あたりおよそ10.4話です(出典: Wikipedia「ファイアパンチ」)。第二部とほぼ同じ密度になっています。

偶然かもしれませんが、僕はここに藤本タツキの標準速度を見ます。第一部だけがやや余裕を持った配分で、第二部とファイアパンチは同じテンポで進んでいる。読む前にこの感覚を持っておくと、第一部から第二部に移るときの体感速度の変化に、身構えずに済むはずです。

この計算に使ったのは、話数と巻数という誰でも数えられる数字だけです。解釈の余地がある読み方の話とは違って、ここには僕の主観が入っていません。だからこそ、ルート選びの前提として安心して使える数字だと思っています。

最短ルート——まずは『チェンソーマン』だけ読み切る

いちばんシンプルなのは、『チェンソーマン』だけを刊行順に読むルートです。第一部が単行本1〜11巻、第二部が12〜24巻で、合わせて24巻です(出典: ORICON NEWS)。

第一部は2018年12月3日号から2020年12月14日号まで、週刊少年ジャンプで連載されました(出典: Wikipedia「チェンソーマン」)。第二部は媒体を少年ジャンプ+に移し、2022年7月13日から2026年3月25日まで続きました(出典: ナタリー)。

最終巻の24巻は2026年6月4日発売です(出典: ナタリー)。今から読み始めても、単行本はすでに全巻そろっています。

第一部と第二部では連載媒体も雰囲気も変わりますが、通して読むことを前提に組まれた話です。分けて読むより、1〜24巻を続けて読むほうがつながりを追いやすいはずです。

読み終えたら、最終回をどう受け止めるかで迷う人も多いはずです。232話の自己捕食をどう読むか、僕なりの見立ては別記事に書きました(記事: チェンソーマン最終回、232話の自己捕食をどう読むか)。

短編から入って、藤本タツキの手つきを先につかむルート

長編からではなく、短い作品から入って持ち味を先につかんでおく、というルートもあります。読む時間が短くて済むぶん、次に何を読むか決めやすくなります。

起点は『予言のナユタ』です。初出は2015年、ジャンプSQ.掲載の読み切りで、現在は短編集『22-26』(2021年11月4日発売)に収録されています(出典: 集英社)。単独では手に入りにくいので、短編集を探すのが早道です。

次に読みたいのが『さよなら絵梨』です。2022年4月11日に少年ジャンプ+で公開された読み切りで、200ページあります(出典: ナタリー)。読み切りとしてはかなりの分量です。

『ルックバック』もこのルートに入ります。原作漫画としての書誌情報はここでは深追いしません。2024年にアニメ映画化され、日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞しました。2026年9月11日には、是枝裕和監督によって実写化もされます(出典: 映画.com)。

最後に置きたいのが『ファイアパンチ』です。2016年4月18日から2018年1月1日まで少年ジャンプ+で連載され、全83話・単行本8巻です(出典: Wikipedia「ファイアパンチ」)。読み切りに比べると分量があるので、短編で慣れたあとに読むと長さが気になりません。

この4作を短いものから長いものへ向かう順で並べると、負担が軽いものから重いものへ、無理なく移れます。『チェンソーマン』はこのルートの最後、もしくは並行して読んでも構いません。

映像から先に触れておきたい人のルート

漫画よりも先に映像から触れたい人向けのルートです。今のところ確認できている映像化は4つあります。

いちばん古いのが2024年公開のアニメ映画『ルックバック』です。日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞し、米アニー賞にもノミネートされました(出典: 映画.com)。

次が2025年9月19日公開の劇場版『チェンソーマン レゼ篇』です。国内興行収入は公開181日時点で107.4億円まで伸びました。世界興行収入は1億9,140万ドル(約290億円)で、アニメ映画の世界歴代14位に入っています(出典: Yahoo!ニュース)。

短編アニメ『藤本タツキ 17-26』は2025年11月8日からPrime Videoで世界独占配信されています。短編8作を映像化した作品で、2026年1月16日からは全国45館で再上映もされました(出典: Amazon公式)。

そして2026年9月11日には、実写映画『ルックバック』が公開されます。監督・脚本・編集は是枝裕和、藤野役を出口夏希、京本役を蒔田彩珠が演じるW主演です(出典: ナタリー)。

アニメ『チェンソーマン 刺客篇』の制作も発表済みです。ただ、テレビシリーズか劇場版かの形式、公開時期はどちらも未発表・続報待ちです(出典: ORICON NEWS)。2026年6月19日には新しい映像が公開されましたが、これも予告の域を出ていません(出典: chainsawman.dog)。

映像から入るなら、今の時点ではこの4つが選択肢になります。順番へのこだわりは長編ほど強くないので、公開順に触れても、気になったものから触れても構いません。

結局、最初の1冊は好み次第でいい

3つのルートを並べましたが、正解は1つではありません。刺激をすぐ求めるなら『チェンソーマン』の第一部から、作家性を先に知りたいなら短編から、映像に慣れているなら画面から。それだけの違いです。

同じ作者が書いたとは思えないほど、長編と短編は手触りが違います。第一部だけ読んで止まっている人ほど、短編に触れたときの振れ幅に驚くはずです。僕はこの振れ幅こそ、藤本タツキという作家の持ち味だと思っています。

どのルートを選んでも、たどり着く先は同じ藤本タツキの作品群です。気になった1冊から読み始めれば、それでいいはずです。

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